こんにちは、風山美久里です。
最近、ふと思ったのですが、今までカイザー練習曲やそれと並行した形のエチュードなどを一生懸命やってきたのだけれど、果たしてそれでよかったのかと。フォークソングやディズニー、その他歌謡曲系の中で気に入った曲をヴァイオリンで弾こうとしても思ったように表現できないんです。ここをこのような音で、と思っても弓が思うままになめらかに動かず、したがって音楽もたいへんぎこちなく音楽でなくなってしまいます。
それはもちろん技術が未熟だと言われればそれまでなんだけど。
小学校で使っていた縦笛などで同じ曲を吹くと思うような音楽になるのに。
吹く楽器と弾く楽器の差はこんなにも大きいのかと。
吹く楽器は感情が直接楽器に伝えやすいですね。頭で描いた演奏方法を直接表現しやすいと思うんです。ところが弦楽器は自分の腕を通して楽器に感情を伝えなくてはなりません。頭で描いた演奏のイメージを腕や手の微妙な筋肉の動きに換算しなおして表現しなければならないんです。数学でいえば、吹奏楽器は一つの公式で正解が出るけれども、弦楽器の場合は二つ以上の公式を組み合わせて正解を出さなければならない応用問題のようなものです。したがって右手のボウイングと左手の技術を高めて、自由自在の音が出せるようにー、というのはその通りだけれど、僕のように30年、やってきてこのような壁にあたったのは少々ショックでありました。
そして、思うのは、クラシック系のエチュードと日本のいわゆる歌とは同じ音楽でも大きく違うのではないか。たとえば感情を表現するのも洋楽は音符や関連記号で表現されうるが、日本の歌はそれだけでは表現しきれない心の入り乱れ、わびさび、喜び、悲しみ、恥じらい、ときめき······、人として生まれて人生の中で感じる微妙な心の動揺を表したものが多いだけに、弓を扱う技術というものが数学的にきっちり管理されたものでなく、遊びをもってそれ以外の心の変遷を表現できるようにしたいものです。
基礎練習は、音階の練習で音程を正確に、音階と分散和音のスピード練習をやり、ヴィブラートの訓練、ボウイングを基礎から、特にレガート系技術、中でもポルタート奏法を勉強しなおしています。考えてみれば、カイザー練習でもボウイングのこと細かい勉強はしてこなかったように思います。弓先に来ると指板のほうに流れる悪い癖があったり、弓元と弓先で均一な音が出せなかったり、と。
そして、自分で自分を感動させるためにも、好きな歌を2~3曲選んでプリント楽譜などで探せば、そのヴァイオリン譜なるものが初級~中級に分かれてあると思うので、自分のレベルにあったものをプリントして、自分で細かい演奏の仕方を書き込んでコツコツ練習し、最終的には暗譜して、楽譜を見ずに楽器と一体となって自分の世界に入り込むように演奏すれば、見違えるようになっているんではないでしょうか。
コメントを残す