自分の十八番(オハコ)とは、まず基本楽譜を見ずに最初から最後まで一通り弾ける曲であるはずである。そうすると、まず、楽譜から音符を追っていく注意力がすべて音の表現(左手の運指と右のボウイング)に集中できるので、非常に効率のいい練習ができるし、それによって上達が早くなる。
そしておそらく、自分が好きで”きれいに弾けたらな”と思う曲であるはずなので、毎日のように練習すると思う。それによって、エチュードだけでは身につかないヴァイオリンによる音楽表現ができるようになると思うのである。
エチュードは1つまたは複数の演奏技術を習得するために書かれたものなので、その教本ばかりを前に進めていっても決してヒトに聞かせる表現力を得ることはできないと思う。いわゆる、基本ばかりで応用が利かないということである。
だから、小品(クラシックに限らなくてもよい。ポップス、唱歌、テレビの主題歌など、なんでもよい)を中心に、いくつかの好きな曲、憧れの曲、好きな異性に聞かせたい曲、自分を慰めたい曲などを選曲して楽譜を用意し(既製のものでもいいし、編曲したもの、または自分で編曲してもいい。それもヴァイオリンライフの延長で楽しいと思う)、初めはヘタでも楽しく弾いていくうちに、エチュードで身につけた技術が生きたものになってくるし、自分が感動することによってさらにその表現力が伸びていくと思う。
ヴィブラートにしても、その音をどのように表現したいか自分で考えるので、ある時をきっかけに素晴らしいヴィブラートができるようになったりもする。
好きな曲を弾くのでも、どのように弾きたいか考えながら弾くのであって、ただ単に音符どおりだけなら「ひととおり弾けたなあ」で終わってしまう。自分が感動しなければヒトを感動させることはできない。
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