こんにちは、風山美久里です。
30才の年からヴァイオリン教室に通い始めて足かけ二十有余年、途中5年ほどぬけましたが今も地元の教室に通っています。その先生は東京の音大のヴァイオリン科を卒業された現役ばりばりの先生でして、よくそのような方が近くにいらっしゃったと思うんですが。
で、その先生がよく言われるのが ”強弱をつけて” ”感情を出して” ”そこはもっとふくらみをもたせて” ”どっしりとした音で” ”そこからは雰囲気を変えて” ”そこはもっと響かせて” ”小声で話すように” 等々、いろいろと指示を出されます。でも、それを忠実に守ろうとするあまり余計に体に力が入ってしまい、先生の前では何回やってもうまくいかないどころか、きたない音になったりします。
子供の頃から習ってきた人たちは、その楽器が自分の体の一部として一体化しているため、うまく感情を表現することが出来るけど、大人から始めた多くの人は、頭で考えて自分なりの理屈で演奏するため、自分が出来ないところは妙に力が入ってしまって、逆に悪い癖がついてしまい、そこから抜け出せなくなったりするんです。
そういうとき、僕は目を閉じ、全身の力を出来るだけ抜いてヴァイオリンが自分の体の一部であると感じるようにしています。自分の体の一部だから自由な表現ができるんだと。そしてその後は自分なりの感情表現の仕方でヴァイオリンを歌わせるんだと意識するんです。
ただ、ヴァイオリンを構えたときの姿勢だけは重要です。ヴァイオリンをあごと肩の間に置いたらあごは頭の重さだけで楽器のあご当てに乗せる意識です。このときあごをひき、けっして猫背になってはいけません。楽器の重さを支える肩から鎖骨にかけて肩当てが乗っていますが、それに向かってあごを押さえつけてはいけません。あごは頭の重さだけで軽く楽器をはさむんです。それで十分に楽器は支えられるはずです。それによって楽器が自分の分身となってさえずってくれるという意識です。
日々の練習では、今取り組んでいる曲をリズムに乗って歌ってみてください。声を出して唄うんです。自由なスタッカートで、荘厳なテヌートで、気持ちの高ぶりを持ってビブラートをつけて唄うんです。そしてヴァイオリンで歌うんです。そしてヴァイオリンと一体となって体全体で歌うんです。歌が下手でも音痴でもヴァイオリンならきっと唱えます。
そして、レッスンに行ってもヴァイオリンを歌わせてください。見違えるような音の流れをつくることができると思います。あとは、左手の音程とビブラート、右手のボウイングの技術を少しずつ磨いていくことです。それについてはまた少しずつお話ししていきたいと思います。
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